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ナーガ(台座脚部)

クメール アンコール・ワット様式 12世紀
材質:青銅 高:15㎝(展示台含 高:21㎝)


ナーガは宝物の護持神であり、生命力と不死をつかさどり、神話では
宇宙や世界の創生にかかわる様々な場面で登場しています。

古代インドの先住民族に起源があるとされるナーガは
、ヴィシュヌ神が
太古の海でナーガの上で眠ると宇宙は活動を停止し、世界は破壊さ
れるとされています。

そして、ヴィシュヌ神の臍から蓮の花が伸び、花弁の中からブラフマ
ー神が生まれ、新たな世界を創造します。


天地創造神話でもあるアンコール・ワット第一回廊の有名な壁面レリ
ーフの乳海攪拌では、アムリタ(甘露)を求め阿修羅と神々の壮大な
綱引きでは、ナーガ(ヴァ―スキー龍王)は攪拌の重要な役割として
登場してます。

様々な神話に登場するナーガは、クメール芸術においても、天空へ
の橋の欄干に、寺院の護持神として配置され、そして儀礼の際の法具
祭器などに装飾されています。

この作品は、恐らく形状から聖水を満たす容器などの台座の脚部とし
て制作されたものと思われ、上部には鋭い面相のカラーが表現され
別鋳の台座との連結部には、台座と固定するための鉄鋲の鉄錆の痕跡
が残ります。

バイヨン寺院浮彫に見られる儀式用ケンディー(水瓶)などの台座脚部
にも見られ、大きさとしては一般的な大きさを遥かに超える大きさであり
精緻で完璧なシルエットからアンコール・ワットの時代の王に関連する
何らかの重要な儀礼に使用された祭器からのものと思われます。

脚部とは言え、作品の緊張感ある素晴らしい出来栄えはアンコール王朝
の青銅芸術作品として遺された精華、名品と言えるでしょう。



参考画像 アンコール・トム バイヨン寺院 壁面浮彫 「ケンディー(水瓶)」