kb186

BACK

薬師如来(バイシャジャ・グル)

クメール バイヨン様式 12世紀末~13世紀初
材質:青銅・金箔 高:9cm(展示台含 高:11.5cm) 展示ケース付

原語Bhaisajyaは、薬・医王を意味し、guruは、尊者・尊師などの二語で
薬師となり、掌に薬壺をもっているほかは、仏陀(釈迦如来)と姿・形は
同じでよく似ています。

クメールの偉大な仏教王であるジャヤヴァルマン7世(在位1181~1218)
は、102ヶ所の施療院(病院)の施療院碑文で、全ての施療院の祠堂に
薬師如来を安置したことが述べられています。

ジャヤヴァルマン7世は、それまでの病院を再編成し、自身が病人の療養
と薬剤の供給に携わり、碑文においても「身体を冒す病は心も蝕む、民の
苦しみが大きくなれば王の苦しみもそれだけ大きくなる」と述べています。

ジャヤヴァルマン7世はクメールの諸王の中では肖像が残され、姿、顔立
ちの分かる唯一の王として知られています。

ジャヤヴァルマン7世はクメール王朝の偉大な王として、現在でも病院は
もとより、さまざまな場所でその肖像が安置され、カンボジア文化芸術省
の紋章も王の肖像がデザインされています。

この作品は、偏担右肩に右手でマーラ(魔衆)を打ち負かす蝕地印(降魔印)
を結び、腹前では左手の掌の上に小さな薬壺を乗せています。
坐勢は、蓮華座から両膝をはみ出させ半跏趺坐の形で坐しています。
小像ながら後ろ姿のどっしりとした腰つきなどにジャヤヴァルマン7世の面影
を感じさせる薬師如来です。

クメール青銅では珍しくオリジナルの金箔を残します、クメール青銅作品で
散見される鍍金(滅金・アマルガム鍍金)とは異なり、純度の高い金箔のため
強い金色を発しています。
クメール青銅においてこれだけ多くの金箔を残すものは他に類を見ません。

日本の鎌倉時代初期に相当する、バイヨン期の秀逸で貴重な薬師如来像です。

※特注の展示用アクリルケースが付帯いたします。 サイズ:30×30×30㎝