kse13
灰釉装飾軒先瓦
クメール アンコール王朝期 11世紀12世紀
高:14.5㎝ 幅:13.5㎝
クメールの瓦は、陶磁史ばかりではなく、アンコール建築史の
研究でも重要な研究資料であり、王宮、王族にまつわるものです。
東京国立博物館のクメールコレクションの中核をなすフランス極東
学院交換品にも数点含まれております。
アンコール王朝期のこのような瓦は、王宮などの屋根を装飾し、その
使用は厳格に守られ、一般の家屋には用いることは禁じられていました。
アンコール期のカンボジアを訪れた、中国元朝の使節に随行した
周達観の「真臘風土記」(三)宮室(住居)には、王族、大臣らの
家屋でも草ぶき屋根で、祖廟と正寝(表御殿)の二カ所のみ、瓦を
用いることが許されていました。
庶民の家は、ただ草屋根を用いるだけで、少しの瓦でも決して屋根に
上げないとされています。
補修などない自然で透明感のある灰釉の美しい歴史ロマンを感じさせる
クメール王朝期の装飾瓦です。