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儀礼用青銅ナイフ(シンハ)
クメール アンコール王朝期 12世紀~13世紀
材質:青銅 長:22cm (展示台 21×6×1.5cm)
シンハ(サンスクリット語で獅子)の柄の印章を付けた青銅ナイフです。
クメールのこの様なナイフは、実用として使用する為、刃の部分を鉄で
制作されるものが多く、遺されたものは鉄と比べ腐食に強い青銅部分の
柄(青銅のハンドル)の部分だけのものが散見されます。
僅かに、この作品のように総て青銅で制作したナイフが見られますが
恐らく、儀礼用のナイフとして使用されたものと思われ美術的にも優れ
た作品が遺されています。
昔日、クメール王朝支配地ブリーラムなど現在のタイ東北部などで多く
見られるラテライト(鉄やアルミニュウムの水酸化物を主成分とした土壌)
の赤い色のパティナ(泥錆)と緑青に覆われた力強い表現の作品です。
股間に男性器を備えた雄のシンハは迫力のある面相で、今にも飛びかか
るような躍動的な姿で後ろ足にかかる円形の台座の裏には印章が刻まれ
ています。