参考画像:柄(持ち手)の鋳型(材質:砂岩)

鏡(柄付)
クメール アンコール・ワット様式  12世紀
材質:青銅・鉛(合金) 径:25㎝ 長:40.5㎝


持ち手の柄が完全な状態で残る珍しいクメールの青銅鏡。
遺されたクメール青銅鏡としては、世界でも最大かつ最も完全で、優れたのもの一つでしょう。


アンコール・ワットやプノンペン近郊のタ・プロム(12世紀)の壁面の浮彫の中でアプサラが
手に持っている
魚の尾の形をした持ち手の鏡と同型の鏡です。

遺された青銅鏡は僅かに持ち手の痕跡を残す青銅の鏡部分だけのものが多く、オリジナルの柄
まで完全に残る、王朝時代の青銅鏡は極めて希少です。

鋳型の遺物により、鏡面を青銅で鋳造し、その後、持ち手の柄は鉛、又はその合金を材料とし
て使用し鋳型で鋳造していた事が確認出来ます、溶けた金属を鋳型の文様のある表面に流し込
み制作します、そのため柄の裏面は無文、無地となっています。


クメールの出土する青銅鏡は通常、直径15~18㎝前後のもので、この鏡は手鏡として片手で
使用するには重く大きなものであり、真臘風土記「宮室」では、王の部屋に多数の鏡が並べ置
かれているようすが記されている事からも、この作品のような大きな鏡は祭祀など王宮や寺院
などで使用する為のもので、特別な意味を持っていた鏡であると考察できます。

This is The Khmer Art Bronze mirror

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参考画像:プノンペン近郊 タ・プロム寺院(12世紀)の壁面の浮彫