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リンガ  Shiva Linga  Sold

クメール美術 アンコール期 9世紀〜12世紀
材質 砂岩 高:46cm 奥行:14.5cm


インドのヒンドゥー教を受容したクメールではシヴァの象徴として、また
シヴァ自身をリンガ(男根)で表現し寺院の本尊としてまつりました。

寺院では方形のヨーニ(女性性器で表現されるシヴァの神妃ウマー)
の台座に直立に突き立てられ、シヴァの活力(エネルギー)の象徴と
して、生殖・豊穣を祈願され、本質的にリンガは宇宙の根源的な創造
の力を表しています。

リンガ崇拝(男根崇拝)は、悠久のインドの歴史のなかで、紀元前2600
年〜紀元前1800年のインダス文明の遺物研究からすでに存在してい
たととも考えられています。


神話では、カルパが滅し世界が消滅した時、水底で眠るヴィシュヌを光
明の中から生まれたブラフマーが見つけ『自分は宇宙の創造者だがお
まえは誰か?』と尋ねると『自分こそ宇宙の創造者だ』とヴィシュヌが答
え口論となりました。 そのとき、火炎を発する宇宙の閃光のような巨大
なリンガが生じ、驚いた二人は喧嘩を中断します。 このリンガの果てを
見届けたものが、より偉大であると白鳥と野猪の姿となって、巨大なリ
ンガの頂と底を見るために、空と海底へ向かいましたが、果てしなくあま
りにも巨大なリンガで二人の行為は無駄に終わりました。

ヴィシュヌとブラフマーは自分達より偉大な存在に気づき、巨大なリンガ
に近づき讃歌を唱えると、 千手千足、 三眼のシヴァがリンガから現れ、
雷鳴のような声で『かつて私たち三神は一体であったが、 今はこのよう
に分かれている。未来においてブラフマーはヴィシュヌになり、私はカル
パの発生時にヴィシュヌの怒った額から生まれるであろう』と告げました。

このとき以来、リンガはシヴァの象徴として人々に広く崇拝されるように
なったと語られています。