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銀製銘文水瓶(ケンディー)

ベトナム チャンパ 7世紀〜10世紀
材質:銀 高:17.3cm

チャンパ王国は、現在のベトナム中部沿海地方(北中部及び南中部を合わせた地域)
に存在した王国で、カンボジアのクメール王国と覇権を争い、アンコールの地を占領
していた時期もあり、アンコール・ワット遺跡やバイヨン寺院には有名なチャンパ水軍
との戦闘場面やチャンパ兵士の浮彫が残されています。

中国の記録によれば、王たちはヒンドゥー教の神々や仏を祀っていたとの記述が見られ
インド文化を受容しながら、東南アジアで独自の文化を築きました。

海の王者チャンパと呼ばれ、中国と直結する海路で海上交易も盛んで、チャンパ特産
の黒檀や象牙、なかでも香木「沈香(伽羅)」は世界で珍重されていました。

古代日本にもチャンパ(林邑)の名は知られており、正倉院御物の香木「蘭奢待」や、
宮中雅楽の「林邑楽」は、中国経由で奈良朝に伝わています。

この水瓶は、東南アジアのこの時代では、極めて貴重な銀素材で制作され、また銘文
を刻むことなどから王にかかわる儀式などで用いられた遺品であることがうかがえます。

銘文の解読に付いては、古代チャンパ(銘文・碑文)は、研究者も少なく世界遺産で
ある、ミーソン聖域の遺跡のチャンパの碑文は、インドの表音文字を使って古代チャム語
又はサンスクリット語の両方を使って書かれ、現在まで一部は解読不明となっています。

この作品の、銘文の内容も不明で謎のままですが、多くの古代文字が解読される現代
研究も進み近い将来には解読され、恐らく年代、王名などが明らかにされ、チャンパの
他の遺物と比較しても、その価値を不動、不変とし歴史遺物として評価される作品です。

鉄の赤錆、銅の緑青は、土中に存在した他の遺物からの、もらい錆に覆われ古色蒼然
とし、神秘的な銘文を刻む姿で静かに佇む、チャンパ王国の至宝と言える水瓶でしょう。