This is The Khmer Art 31

金製指輪( Royal jewelry )
クメール アンコール王朝期 12世紀〜13世紀 
材質:金・水晶 高:3.3cm 幅:3cm 重:13.8g


この豪華で見事な指輪は多くのクラックを内包した魅力的な水晶を
金の板で作られた四つの爪で固定し、その基部を金線をねじり螺旋
状にした紐で周囲を装飾するとともに固定し、花開いた蓮花(蓮華)
の上に乗せた姿で表されています。

四つの爪を持つ蓮花、この意匠との一致を見るのは、ダグラス・ラッ
チフォード氏が、2008年にプノンペンのカンボジア国立博物館に寄贈
した2組の「Royal jewely set」(参考図版 @、A)及び、個人コレクシ
ョン(参考図版B)の冠帯などに連なる蓮花として確認出来るもので、
蓮花を伴う四つの爪は、この時代の冠帯(ディアデム・王権の象徴の
環)に共通しています。

蓮花の下部は、外周の縁取りに螺旋状の金の紐を巡らし、蓮花の基
部、四箇所に粒金細工を施しています。 他の特徴的な意匠の、両脇
に見られる三つの二重(二段)の突起は、タイ国 ピマイ国立博物館蔵
(図版 C)の青銅鍍金の宝冠(髷覆い)の蓮弁に見ることが出来ます。

アンコール・ワット遺跡の浮彫、デーヴァーター(女神)の指にも確認す
ることが出来る、水晶や貴石などを四つの爪で固定し基部を螺旋状の
紐で装飾した比較的簡素な金製指輪が、アンコール・ワット様式12世
紀の出土品として紹介され知られています。

この作品は、クメールの指輪として他に類を見ないもので、その豪華な
意匠は王の象徴である冠帯や宝飾に見られるもので技法、製作精度、
意匠などすべてにおいて近似しています。

同じ金細工職人の手であることが確実な、ほぼ同一の作品が過去に
一つ出土しており、この作品は世界で二つ目の作品で、恐らく何らか
の理由により同時期に、二つ以上幾つか制作されたものと思われます。

13世紀にアンコール期のカンボジア(クメール)を訪れた中国・元の
周達観の著「真臘風土記」・(四)服飾では、国主(国王)は手足および
諸々の指の上には、みな金のうで輪・指輪を帯び・・・と記しています。


これらの記述からも指輪のサイズは25〜26(日本サイズ)と大きく、
恐らく王・王族など高位の男性の所用のものと思われます。

参考図版@ Khmer Gold Gifts for the Gods   Emma C.Bunker and Douglas A.J.Lachfod  2008

参考図版A Khmer Gold Gifts for the Gods    Emma C.Bunker and Douglas A.J.Lachfod  2008
参考図版B Khmer Gold Gifts for the Gods   Emma C.Bunker and Douglas A.J.Lachfod  2008
参考図版C Khmer Gold Gifts for the Gods   Emma C.Bunker and Douglas A.J.Lachfod  2008
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