浮彫断片(ヴィシュヌ神像基壇)  Sold

インド 中インド  10世紀
材質:赤色砂岩 高:38p

世界の護持神、ヴィシュヌはシヴァと共に、ヒンドゥー教の信仰世界を二分する
強力な神ですが、その姿は多様で非常に複雑です。

ヴィシュヌには、一般的に知られているアバター(化身)だけでも、クリシュナや
ラーマ、猪、亀、仏陀など10のアバター(十化身)が知られています。

ヴィシュヌ信仰の浮彫、神像では、このアバターである叙事詩の神々や事跡を
ヴィシュヌの周囲に配置する意匠が多用されています。

クリシュナはインドで最も広く知られ、ヴィシュヌ信仰の隆盛はクリシュナとラーマ
をアバターとして取り込むことに成功した事が要因であると指摘されています。

インドの大叙事詩「ラーマーヤナ」でラーマが、「バガヴァッド・ギーター」、「マハ
ーバーラタ」では、クリシュナの神話的事跡が語られています。


この作品は、ヴィシュヌ神像の基壇部分のレリーフで、彫像は恐らくヴィシュヌ
のアバターであるクリシュナの父、ヤーダヴァ族の王子ヴァスデーヴァ、中央の
蓮を持つ女性は、クリシュナの姉妹スバドラと思われ、基壇下端には合掌礼拝
する奉納者(寄進者)が蓮の前で跪いています。

悠久の叙事詩の世界を、美しい赤色砂岩にインド彫刻特有の、優雅さと美しさ
品格までをも見事に表現した、インドヒンドゥー彫刻の秀逸な作品です。

※ヴィシュヌの根本経典「バーガヴァタ・プラーナ」では22の化身を列挙しています。

来歴

SOTHERY'S  
New York  Auction: Wednesday September 24,1997

※ Property from a Washington D.C. Collection 



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