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男神像
クメール アンコール期 13世紀
材質 青銅 高:21cm(展示台含 高:26.5cm)


バイヨン~ポスト・バイヨン期の作品でロッブリー派(アンコール王朝
時代、クメール帝国の版図であった現在のタイ国)の工人による造像と
思われる四臂の男神像です


アンコール時代の神仏像の立ち姿の像は直立し、その脚は基本的に
真っ直ぐで、踊る姿の場合では片足を上げ、両足を地に着けている
場合でも片方の足のかかとは上げて表現されています。

恐らく踊る姿でなく、この像は地にしっかりと揃えて足を置き、目を引く
大きな足と、膝関節を外側に曲げて
僅かに腰を落とす、クメールでは
他にあまり例の無い珍しい造像表現です。

また、腰衣も通常は前面の垂れ布は真っ直ぐに垂れ、股座、股下を隠
していますが、この像では右腿に寄せられ、意図的にその脚のO脚を
際出せています。

尊名を比定する為の一つである持物も、クメールにおけるヴィシュヌ神、
ローケーシュヴァラ(観音菩薩)など、四臂像の持物とも一致しません。

作品を見るかぎり熟練した工人の細部にも注意の払われた優れた作品
であり、凡庸な作品に見られる持物の知識不足、間違いは考えられず
、持物は意図的なものであると思われますが、判然としないものもあり、
その像容とともに尊名の比定を困難にさせています。

前方左右の持物は、恐らく棍棒と羂索と思われ、その大きな足や腰衣、
姿勢などが、尊名比定のヒントになるかも知れません、いずれにしても
大乗仏教・密教系の尊像であると思われ、謎めき神秘的な魅力と高い
精神性を感じさせる秀逸な作品です。


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