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ナーガ(吊金具)
クメール アンコール・ワット様式 12世紀
材質:青銅 高:25.5cm(展示台含 高:39cm)


アンコール王朝期の輿の吊金具です。担ぎ棒に通し、吊輪を提げ
本体(人の乗る部分)とをつなぐナーガ(蛇神)形の吊り金具です。


三連の環の下に、上部に植物文、下部に立ち姿の獅子を表した
ひし形の基部を作り
基部下よりマカラ(怪魚)の口からは弓なり
に、鎌首をもたげた三頭のナーガが吐き出されています。

このタイプのナーガ吊金具は、優れた意匠で何度も展覧会や書籍な
どで紹介されてきましたが、それらは全て参考画像で見られるように
上部の前後の小さな環が欠損した状態のものが紹介されていました。

弊店でも過去に数点扱いがありましたが
前後の環はどれも遺され
ていませんでした
他のタイプの吊金具と比較してもバランス的にも
クメール造形美術としても不自然で、環の側面も連結部分としての
造形(仕上げ)でありました。僅かな欠損はありますが、この作品で
造形的に完結した完全な状態の吊金具の姿を見ることが出来ます。


※ 作品画像をクリックしていただくと拡大画像がご覧いただけます。

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参考図版
『Adoration and Glory The Golden Age of Khmer Art』
Emma C.Bunker and Douglas Latchfod
Art Media Resources Chicago 2004