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三脚台座(儀式用法螺貝を置く為の台座)  Sold
クメール バイヨン様式 12世紀末~13世紀初
材質:青銅鍍金 高:11㎝ 横:14.1㎝


クメール美術の様式名は、基本的に制作された時代の代表的寺院
(中心的)の名称にちなんで呼ばれています。

バイヨン様式のバイヨン寺院はアンコール・ワットとともにクメールを代
表する建築物(12世紀末)でアンコール・トムの中心寺院としてジャヤ
ヴァルマン7世によって建立されました。
敬虔な仏教徒のジャヤヴァルマン7世は、仏法で国を統治する転輪聖王
としてクメール王国を統治し多くの慈善事業などでも知られ、また数々の
軍事遠征により版図を最大に広げ、クメール歴代王のなかでも最も
高名な大王として知られています。


この作品はバイヨン様式の作品にみられる列弁文と連珠文の縁飾りで
装飾され、脚基部三面の上縁にはガルーダ(鳥神)、繋ぐ三面上縁には
テパノン(合掌する天人)を
めぐらしています。
テパノンの下では、歯をむき出し威嚇するカーラ(時間を司る神)を三面
に配しています。

三脚基部には獣面(マカラ・龍)をかたどり、獣面より吐き出されるかたち
で反り返った脚の先にはガルーダを表しています。

内、外、総体に鍍金を施した特別な作品で、精緻な意匠とも、バイヨン
様式の台座としては現存する遺品のなかで最も優れたものの一つで

恐らく法螺貝は青銅製では無く、金で(金無垢)制作されたものが置か
れ使用されたと思われます。

鍍金された総体を、美しく緑青が包み込み、真正の作品のみが持つ静
かで凛としたたたずまいの上品なもので、制作された古き時代の所用者
がいかに高貴な人物であったか容易に想像できる秀作です。