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シヴァ  

クメール バプーオン様式 11世紀
材質:青銅 高:15.3cm(台座内のホゾ含む高:17cm)

クメールでは、インド起源の仏教とヒンドゥー教の二つの宗教が
土着文化や信仰と融合し独自のクメール文化が展開されるなかで
アンコールの歴代王たちの多くがヒンドゥー教を信奉し、破壊と再生
(維持)を司る最高神としてのシヴァを、象徴とされるリンガ(男根)
や二臂三眼の立像として表現し信奉していました。

クメール美術において、バプーオン様式はバンティアイ・スレイ様式
を受け継つぎ、優雅さを表現する独自の像容を確立し、その美しさ
で高く評価されています。

ベルナール・Ph・グロリエは、クメール美術においてバプーオン期の
青銅芸術は、完璧さを達成し古代ギリシャを凌駕する偉大な壮大さ
を達成したと述べ高く評価しました。

この二臂立像は美しく編み上げられた髪の髻には三日月、額に第3眼
を表すことからシヴァであることが確認できます。

目鼻立ちははっきりとして、縁どりされた眼と縁どられた唇。若々しく
しなやかな体つきで、細く締った腰の腹前で弧を描き切れ込む裙
(腰衣)の上端の表現はバプーオンの典型的な特徴であります。

この作品は装身具である耳飾、美しく精緻な胸飾りと臂釧、腕釧
足釧をつけ、右手には蓮華の蕾を持っています、その優雅な手の
表現は腰前で僅かにかえす手首から、軽く引き上げられた小指など
指先までに及ぶ表現は見事で、上品で優雅なバプーオン様式の
特徴を顕著にあらわしています。

アンコール期の遺された青銅作品の殆どは、12世紀アンコール・ワ
ット様式~バイヨン様式(12世紀末~13世紀初)の作品で、アンコー
ル王朝期9世紀~11世紀までの遺された青銅作品は数少なく、また
遺された作品は殆ど例外なく優れた作品が遺されています。

この作品は、なかでも小像ながら美しく精緻で傑出した作品です。

B. Ph.グロリエ(GROSLIER)
フランス人、アンコール王朝研究の第一人者
「アンコール水利都市論」で知られる。
アンコール遺跡保存官(在職1956-1971)