kb183

BACK

ナイフ(馬)

クメール アンコール・ワット様式 12世紀
材質:青銅・鉄 長:19.5㎝

クメールでは、柄の部分を青銅で制作し鉄の刀身の小振り
なナイフが出土します。

これらの青銅のナイフの柄は、動物や人物を模った凝った
作りのもので、この作品のように小さな印章を持ったものが
見られます。

強く握るには不都合な形状のものも多く、使用目的などに付
いては興味深いところですが、いまだ定説は見られません。

クメールの馬については、12世紀アンコール・ワット寺院の
回廊浮彫りでは、騎兵が多く登場しますが、12世紀末~13
世紀初のバイヨン寺院やバンテアイ・チマール寺院の壁面
浮彫では、殆ど馬は消えてしまいますが、インドの大部分の
地域同様にカンボジアでは馬の血統が次第に衰え途絶えて
しまう地域で、乗用の家畜の馬の調達が困難であったため
とされています。

可愛らしく美しい馬で、クメールナイフの馬には、雄馬のシン
ボルまで造形されることが多く見られますが、この作品では
後ろ足のその部分には何も見ることが出来ませんので牝馬
をイメージしたのでしょうか、優しさと愛らしさを感じさせる、
秀逸でたいへん美しい作品です。


特注の取り外し可能な金属製(艶消し黒)の展示台で美しく
安全に展示できます。