This is The Khmer Art 33

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女神立像  Sold
クメール バプーオン様式 11世紀
材質:砂岩 高:58.5㎝(展示台含 高:64cm)

アンコール王朝期、11世紀バプーオン様式の女神像です。
クメール彫像の神仏は、蓮、法螺貝など様々な象徴的持物などで
尊格を表現するため、多くの遺された彫像では象徴的持物が欠損し
ているため尊名の決定を困難にしています。

しかしながら、この作品では、左肘の位置や状態、その他の要素などから
恐らくヴィシュヌ神の妃、富と幸運の女神ラクシュミーである可能性が高い
と思れます。

ヒンドゥー教の女神である、ラクシュミーは仏教に取り入れられ、仏教の
守護神である天部の一つ、吉祥天として知られ、富・幸運・繁栄を顕し、
仏教においても美女の代名詞とされ尊敬を集めています。

デーヴァラージャ(神王)信仰の概念はクメールの中心的概念で、彫像に
おいては、常に生きた人間がモデルであり神の姿でありながら、王、王族
の特性を備えた肖像であります、肖像である神像を制作するクメールの
優れた彫刻家は造形美を追求しました。

硬質で良質の石の肌は、研磨され艶を残しています、腹前でカーブを描
いて切れこむ裙(腰衣)の表現は、バプーオン様式の典型的特徴の一つ
で裙の垂飾りは真直におちて、その先端は裾に向かって魚の尾の形に
ひろがっています。


クメール彫像のなかでも、優美な様式で知られるバプーオン様式の彫像
作品は、アンコール芸術のなかでも特に高く評価されています。


この作品は、美しいフォルムと精緻な彫刻で、王族、神としての威厳と
しなやかさ、優美さ、美しさを見事に顕した、光り輝く栄光のアンコール
王朝時代の極めて優れたクメール彫像芸術作品です。


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