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宝冠仏立像 
タイ ラタナコーシン美術 19世紀
材質:青銅・漆・金箔 高:73cm 幅:17cm


ラタナコーシン時代は、西暦1782年ラーマ1世が王都をクルンテープ(バンコク)
に建都した時に始まります。

宝冠仏は、釈尊(仏陀)が頭上に宝冠をのせ、身体に豪華な装身具を付けた
仏像をそう呼んでいます。
タイの宝冠仏はアユタヤ王朝後期頃に多く見られ、18世紀後半~19世紀の
ラタナコーシン美術(バンコク王朝)では代表的な仏像様式として多くの宝冠仏
が造像されました。

この宝冠仏は、東南アジアに伝わる仏伝の中で、ジャムブパティ王という非常
に傲慢な王がいたため、釈尊はこの王を、諫め導き救うため、法力によりその
王よりも豪華な宮殿を建て、釈尊がその宮殿の王に扮した時の姿がこの宝冠仏
とされています。


宝冠仏立像は多くの場合、通常両手を前に出し指先を総て上に向けた、施無
畏印をなしますが、この仏像では托鉢の容器を前に持つ姿の数少ない比較的
珍しい宝冠仏です。

タイでは生まれた曜日の守護仏が指定されています(水曜日だけは、昼と夜に
分けられる。)が決められています。

この仏像は「水曜日、昼の守護仏」で、立像で托鉢の容器を持っているのが特徴
です。

タイの比較的大きな寺院では、この曜日守護仏が並べられ、自分の生まれた曜
日の仏像に布施する姿が見られます。


この宝冠仏はラーマ4世統治頃 (1851~1868年) に造像された仏像で、青銅に
漆、金箔で仕上げられた装飾も豪華で美しい作品です。

大衣の裾や背面に漆の剥離や金箔が失われた部分がみられ、足部分に補修
された部分も見られますが、時代のある真正なラタナコーシン様式の作品としては
所々オリジナルの硝子装飾も残され良好な状態のサイズ的にも得がたい作品です。

ラタナコーシン様式の特徴を顕著にあらわす、精緻で端正な尊顔の宝冠仏です。