This is The Khmer Art 32 

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女尊頭部(プラジュニャーパーラミター)
クメール バイヨン様式 12世紀末~13世紀初
材質:砂岩 高:19cm (展示台含 高:32cm)

ジャヤヴァルマン7世はクメール王朝の仏教徒の国王で、カンボジア国立博物館
(プノンペン)収蔵作品のジャヤヴァルマン7世像(12世紀末~13世紀初)は、
クメール美術の一つの頂点であり最高傑作とされています。
深く瞑想したスピリチュアルな肖像坐像は自然で、人間的で静かに瞑想し慈悲
を感じさせる王の尊顔は、バイヨン様式の理想であり特徴でもあります。

クメールでは、王を神仏と同体とするデーヴァラージャ(神王)信仰が行われ、
また深い信仰により死後に神仏と一体になることを願い、神の特性と自身の特性
を備えた、肖像でもある神仏像を寺院に寄進しました。

プラジュニャーパーラミターは「般若波羅蜜多」と音写され「智慧の完成」」を意味
しています。
諸仏が悟りを開くのは般若智によることから、諸仏の母として「般若波羅蜜多菩薩」
又は「般若仏母」とも言います。

バイヨンでもジャヤヴァルマン7世の面影を彷彿とさせる、この特別な頭部は、王の
母親、又は娘などを菩薩の姿で表した肖像であり、恐らく仏教の三尊像として造像
されたもので、中央に仏陀像として本人ジャヤヴァルマン7世を、父をローケーシュ
ヴァラ(観音菩薩)、母をプラジュニャーパーラミターとした三尊像であったものと
思われます。


頭部には化仏(アミターバ・阿弥陀仏)を表し、王家の優れた仏師の作と思われ、
すべての精神性、この時期の神秘的信条すべてが凝縮され、先行するどの様式と
も異なった、仏教に帰依し信奉したジャヤバルマン7世の理想の真髄に迫るバイヨ
ン様式の紛れもない傑作でしょう。


土中環境によりパティナが不均一で、額から特に鼻先にやや濃く表れており、一見
補修での変色を思わせますが、補修及びリカットなどの無い、完全なオリジナルの
状態を維持した貴重で美しい作品です。