Chinese Art  Fukurokuju

福禄寿

中国(カンボジア出土) 元~明(13~16世紀)
材質:青銅  高:8cm(展示台含 10cm)

カンボジアの扶南国(西暦68-550年)の3世紀には中国三国時代の呉から
通商使節も訪れアンコール時代にも多くの唐人(華僑)が在住していました。

元の皇帝が派遣した外交使節の随行員として、アンコール期(1296ー1297)
に訪れた周達観の書物「真臘風土記」では、中国の海上貿易などカンボジア
における通商取引は中国人の参加により繫栄し、この時期アンコールにおけ
る唐人(華僑)の急増と生活なども記録されています。

福禄寿は中国の道教で強く希求される3種の願いである、幸福・財産・長寿を
具現化した神様で、背は低く長頭で髭をはやし、杖に経巻を結び、中国では鶴
鹿、桃を伴って表現され、日本の七福神の寿老人とは同体異名の神様とされ
ることもあります。


日本でも春日大社(奈良)の神様が騎馬ならぬ、騎鹿(きろく)シカに乗って
やってきたとされ、古くから鹿が神のつかいとして大切にされています、この
福禄寿も形状や中国明代の類例から騎鹿の福禄寿像であったと思われます。

カンボジアでは、アンコール時代の遺物とともに、稀にインドや中国からの
遺物が発掘され、昔日の人々の往来や生活が偲ばれます。

アンコール王朝時代の唐人が、故郷より遠く離れたアンコールの地で幸福や
財産・長寿を願い祈念し
たものでしょう。

長頭に線刻で髭をあらわし、左手に経巻をもち、土中での古色蒼然とした緑青
の、福禄寿としては時代のある珍しくもロマン溢れる大変雰囲気のある作品です。

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