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スヴァヤンブーリンガ・宇宙卵( Svayambhu Linga / Cosmic Egg )

インド(ナルマダ川 ・Narmada River)
材質:玄武岩 高:17cm (展示台含 高:19,5cm)

スヴァヤンブーリンガは、ヒンドゥー教のヴィシュヌとブラフマーに並ぶ、3つの
最高神の1つであるシヴァの象徴として表現される自然に形成されたる「自ら生
まれる者」の意味のスヴァヤンブーリンガです。

シヴァは破壊と創造の両方を表すため、ヒンドゥー教の宇宙の概念の周期的な
性質を表しています、シヴァの象徴として勃起する陰茎、柱や卵形などで表現
されるリンガは天然石の形(スヴァヤンブー)又は、石彫刻などによる造形物で
ある人工(マニュシャ)のいずれかです。

Svayambhu Lingaは、赤い色の鉱物含有物を含む大きな卵形の灰色の玄武
岩石で、水の作用によって自然に形成され、収集され手で磨かれますが、
それ以外は工具(機械)などを使って人間よって形作られることはありません。

この天然リンガの起源はインド中部の神聖なナルマダ川とされ、雨季の水量増加
による強い急流より、川底の原石が長い年月のなかで削られ形成されます。
岩に含まれる赤い鉱物は、シヴァの創造的なエネルギーを活性化する為に必要な
シャクティ(神妃)のエネルギーの概念を体現していると考えられています。

ナルマダ川のこの特徴的な石は、インドの伝説によると古代の隕石との衝突により
特徴付けられたため、天と地の結合を意味するとも考えられ、ナルマダ川の自然に
形成され発生するものは、人工の形態よりよりもパワーがあり、強力であると考えら
れ、浄化と奉献の予備的な儀式を必要としないものとされます。

また、形状から「宇宙卵」とも呼ばれ、ヒンドゥー教の聖典「ヴィシュヌ・プラーナ」
では、宇宙には巨大な卵の殻が浮かんでいて「ブラフマー神の卵の殻」と呼ばれ
その中がブラフマーの創造の場とされ、その中に我々の生活する大地、日月星辰
の運行する天界や、聖仙たちの修行する聖界が存在すると言われています。

卵から宇宙、そして天地が生じる「宇宙卵」の卵生神話の観想はインドにとどまらず
ギリシャのオルフェウスの賛歌、エジプト、フィンランド、中国などでも見られ、西洋の
象徴体系において、しばしば宇宙の原初状態を表現し、「コズミックエッグ・Cosmic Egg 」
と呼び、錬金術では宇宙霊が封じ込められている混沌(カオス)を意味し、プリマ・マテ
リア(第一資料)として宇宙創造の原物質としています。
       
自然由来のプリミティブな作品で、人々に根源的、原始的なパワーと不思議な感情を
抱かせてくれる魅力的な作品ではないでしょうか。

同種のスヴァヤンブーリンガは、オーストラリアのビクトリア国立美術館の収蔵を始め
これまで主要海外オークションにて、Indian and Southeast Asian Artなどのカテゴリー
で 「Cosmic Egg」「Svayambhu Linga」として出品されてれます。(参考画像をご覧下さい)

参考画像