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柄杓( Bronze ladle with handle ending in a duck,s head )

ギリシャ (ガンダーラ地域 伝スワ―ト出土) 紀元前4世紀
材質:青銅
 高:22.5cm(展示台含:27.5㎝)

ギリシャ古典期からヘレニズム時代に散見される様式の柄杓で
儀式や宴会などで、大きく深い壺クレーター(混合容器:kraters)
容器から、ワインを水で希釈した、いわゆる水割りワイン、クラシ
(クラシス)を、このほぼ垂直に上昇する長い取っ手で上端の曲
がった先にアヒルの頭を持った、このような柄杓で取り出しカップ
などに注いでいました。

アレクサンドロス大王(在位前336年~前323年)の東方遠征(東征)
によって東方の地域に伝播したギリシャ文化が、オリエント文化と
融合してヘレニズムが誕生し、ヘレニズムと仏教が融合しガンダーラ
美術が成立します。

この柄杓は、ガンダーラ、スワ―ト出土の幾つかのブロンズと一緒に
日本に請来されたものの一つで、ハンドルとカップをつなぐ部分には
ギリシャのパルメット文様などで装飾され、アヒルの頭部を鋳造した
精緻で優れた作品です。

アレクサンドロス大王は、紀元前326年にはインダス川を越えタキシラ
に到達したとされ、そのような歴史のなかでガンダーラの地にもたらさ
れたギリシャ青銅作品で、歴史ロマン溢れる素晴らしい遺物です。