蓮の香炉
クメール アンコール期 12世紀〜13世紀
材質 青銅 高:18.5cm 幅:27.5cm
青蓮の花冠を模したクメールの香炉で、優美な曲線を
見せる茎の端には、聖鳥ハンサが羽ばたいています。
古代インドの叙事詩 『マハーバーラタ』 では、 クベー
ラ(財宝神)の守る、吉祥で豊富な甘露水のような水に
満たされた青蓮の満ちる池があるとされています。そこ
では最高の神の蓮花の花冠を、 聖鳥ハンサが羽ばた
いて揺らし、穢れのない花粉と、神々しい芳香を放つて
いると語られています。
優れた芸術家の仕事は、青銅作品に硬さを感じさせな
い優雅で美しい姿を生み出し、 悠久の地中で自然の
摂理によって生成された緑青の、ブルーパティナ(藍銅
鉱) によって覆われた花冠の美しさは神秘的で、 この
作品を優雅で魅力あるものにしています。
横浜ユーラシア文化館 『魅惑のクメール青銅美術展』
2012年 出品作品
横浜ユーラシア文化館紀要
『魅惑のクメール青銅美術展について』 2013年 所載
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