仏陀立像
クメール美術 ロッブリー様式 13世紀
材質 青銅 高::24cm (展示台含 高:30㎝)
カンボジアとの国境近くムアン・タム遺跡、パノム・ルン遺跡などのクメール遺跡
が遺される現在のタイ国ブリラム県で出土した、日本では鎌倉時代のバイヨン期後
期~ポスト・バイヨン期初期の仏陀立像です。
現在のタイ国ロッブリーからコラート地方は11世紀~13世紀末にかけてクメール
王国の統治下のこの地域で、製作又は出土したクメール美術作品を、ロッブリー
様式(派)の作品としています。
ロッブリー様式のこの作品は、ドヴァーラヴァティー美術の後継者であり、その伝
統的な仏像様式は両手を胸の前に上げ、掌を正面に向けた印で、「恐れなくてよ
い」と衆生(しゅじょう)の恐れの心を取り去って救う施無畏印(せむいいん)を
結んでいます。
仏陀は通常装身具を一切身に付けない姿で表現されますが、クメールでは装身具
で荘厳された仏陀を王と重ね合わせた独自の信仰から、この作品では肉髻に円錐形
のムクタ(宝冠)を被せ、美しく宝飾された帯飾りで荘厳しています。