kb190

BACK

ヴァジュラサットヴァ

クメール バイヨン様式 12世紀末~13世紀初
材質:青銅 高:20cm (取り付け金具を含む)

このヴァジュラサットヴァ像は、軍隊の旗印として柄(棒)の先端に取り付けられた
作品で、そのため下部に取り付けの為の金具部分が残されています。

クメールの軍隊は、軍の旗印(旗識)として、ハヌマーン像や、その他の神像などの
青銅像を長い棒(木製)の先端に付け、捧げ持ち目印としていました。

アンコール・ワットやバイヨンの遺跡浮彫では、軍の行進や戦闘場面などでも数多く
彫られています。


金剛杵(ヴァジュラ)と金剛鈴を持物とする、ヴァジュラサットヴァは、ヴァジュラが
堅固である事の象徴であることから、金剛のような不動堅固な心で悟りの道を求め
仏道を行う密教の菩薩とさてれています。

忠実で強く勇敢さの象徴であるハヌマーンや勇猛で絶大な力の鳥神ガルーダなど
が軍の旗印とされました。

不動堅固なヴァジラサットヴァなどは、旗印としては珍しく優れた作品です。

この作品は、弊店の展覧会「The Khmer bronze art クメール青銅芸術の世界」
2007年のカタログ掲載作品で、現在このカタログの掲載作品の幾つかは、東京国立
博物館、カンボジア国立博物館(プノンペン)などにも収蔵されています。


The Khmer bronze Art  クメール青銅芸術の世界 2007 カタログ掲載作品