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輿の吊り輪  kb 119

クメール バイヨン様式 12世紀末〜13世紀初
材質 青銅・鉄 高:22.5cm(展示台含 高:29cm)

クメールでは、王族や貴人の乗る、輿などの担ぎ棒
に取り付けた鉤に、このような吊り輪を吊り下げます。

アンコール王朝時代の碑文以外の唯一の文献資料
である、周達観 『真臘風土記』では吊り輪には大き
な布を折りたたんで縄で繋ぎ、袋状にして人が乗る
部分としたという記述があります。

この作品は比較的大きな吊り輪で、最上部ではテパ
ノン(天人)、もしくは蓮を持っているようにも見えます
ので、ラクシュミーであるかも知れません。

鐙形の輪の左右に向かい合う獅子を巧みにデザイン
した、珍しく類例の少ない、吊り輪装飾金具の優れた
作品です。


周達観・元の使節に随行してアンコールを訪れ約1年
間滞在し(1296〜1297))アンコール王朝のその自然・
文化・習俗・産物などを14項目にわたって簡潔に綴っ
た見聞記 『真臘風土記』 の著者。