Hanuman Art Kamakurayama

クメール美術  石彫刻 他

クメール美術とは、6世紀頃よりインドシナ半島のカンボジアを中心とする地域でクメール族(カンボジアを中心とする民族)
が、インドからもたらされた仏教とヒンドゥー教にもとずく伝統と宗教を、人々が取捨選択したなかで土着化し、世界でも
独自のクメール美術を
創り上げました。

9世紀には、ジャヤヴァルマン2世王(802−850)によってアンコールの地が王都とされ、歴代の王により多くの石造寺院が
建築され、クメール美術の黄金期を迎えます。

この時期をアンコール王朝期と呼び、世界遺産でもあるアンコール遺跡群のアンコール・ワット寺院(12世紀)は、遺跡群を
代表する寺院であり、国の象徴的遺跡としてカンボジアの国旗の中央に配置されています。


1000年にわたり栄華を誇ったクメールの美術は
アンコール時代の末期まで、最良の石材として砂岩を選択し王の寺院を浮彫
で荘厳し、その美しい浮彫は数々の神話や王の功績を讃え、彫像が神々や神格化された王族のために造像されました。


クメール美術は、独自の洗練された造形美をもつものとして世界の美術のなかで高い評価と価値を認められています。

各写真画像をクリックして、拡大画像ご覧下さい。


付柱(仏陀坐像)

クメール美術 バイヨン様式 12世紀末〜13世紀初
材質 砂岩 高:56.5cm(展示台含 高:64cm) 幅:36cm

バイヨン様式の付け柱で、彫りの深い唐草に囲まれた中央では
蓮華の上で禅定印を結ぶ仏陀が坐しています。

このような付け柱では、上下に連続した意匠で彫刻され、下段
にも仏陀を見ることが出来ます。

バイヨン期以降に起こった廃仏のため、浮彫りでも多くの仏陀
像が削り取られ、浮彫りレリーフで仏陀が残される例は稀で珍
しく遺された数は僅かです。

背面は、重量と厚さ軽減のため人為的にカットされています。




神像頭部(ハリハラ)  Sold

クメール美術 プラサート・アンデート様式 7世紀末〜8世紀初
材質:砂岩 高:15.5p  (展示台含 高:21p)

ハリハラは、右半身をシヴァ神、左半身をヴィシュヌ神とする混合(合体)
神像で、ヒンドゥー教のシヴァ信仰とヴィシュヌ信仰が共存した古代カン
ボジアのプレアンコール期ではハリハラ信仰が盛んでした。

クメールのハリハラ神像の特徴は頭部に表現され、この作品では額上部
から円筒僧帽の前部を大きく欠損しているものの、ハリハラの特徴でもあ
るシヴァの半分の第3眼が額に見られ、さらに右側の髪束を花弁状に編み
上げるシヴァの髪髷冠ジャタムクタ、左側のヴィシュヌの冠帽とで、ハリハ
ラと認められます。

日本の飛鳥時代に相当する、磨かれた状態を良く残すこのハリハラの相貌
は冠を線刻で縁どり力強さを感じさせるやや角張った貌で、縁どりのある唇
に口ひげを立体的に彫り上げ、眼球を彫り窪め大きく見開いた眼は瞳を彫
り出し、プラサート・アンデート様式の特徴を顕著に表しています。

ドゥルガー

クメール美術 プレ・アンコール期 7〜8世紀
材質 砂岩 高 18cm(展示台込 26cm) 横 21cm

プレ・アンコール期の4臂のドゥルガー女神像です、ドゥルガーはシヴァの
神妃の一つで、神話ではマヒシャ(水牛の魔人)率いる魔人軍に神々が
打ち負かされてしまい、それを知ったヴィシュヌとシヴァ、神々が怒りの光
を発し、その光からドゥルガーが生まれたとされています。
そうして生まれたドゥルガーは神々賞賛され、さまざまな神々の武器を与
えられ絶対的な威力で水牛の魔人マヒシャを倒します。

比較的小さな彫像ですが、微笑を浮かべ、首は太く両手首の部分は、ア
ーチとの間に穴を開け立体感を出すなど珍しい表現で工夫が見られます。
クメール美術のドゥルガーの多くは、四臂像で表現されています。

このドゥルガーも四臂像ですが破損し胸像となって上部部分の手のみ遺
されました、持物は右手の円輪(チャクラ)と左手には法螺貝の持物が見
られます。


ガルダ

クメール バプーオン様式 11世紀
材質:砂岩  高:23cm
(展示台含 高:27.5p)

ガルーダ(ガルダ)は鳥族の王といわれ、猛禽類の嘴と爪を持ち、人間の
胴体をしています。
クメールでは、ガルダを半鳥人の姿で表すことが多く、宝冠、ムクタ(頂髷)
、装飾も、ほかのヒンドゥー神像と同様に装飾されています。

また、ヒンドゥー教の神で、ヒンドゥー教で最高神のヴィシュヌ神を乗せるこ
とでも知られます。

仏教にも採り入られ日本では迦楼羅(かるら)と音写され、金翅鳥 (こんじ
ちょう)とも呼ばれています。


浮彫から剥離し土中した作品ですが、感じの良い作品です。






苦行者

クメール美術 バプーオン様式 11世紀
材質 砂岩 高 25.5cm(展示台 30cm)

11世紀の寺院建築の軒飾りに彫刻された、おそらくシヴァ
の表現としての苦行者(僧)レリーフからの頭部残欠であ
ると思われます。

本来は開眼であったと思われますが風化により眼を閉じて
いるようにも見え、静かに瞑想する表情は、神秘的で雰囲
気のある作品です。

レリーフを背面で固定した艶消し黒色の展示台で、レリー
フを漆黒の空間に浮かせたイメージの、作品を邪魔するこ
とのないシンプルな展示台に仕上がっています。




リンガ  ks73 Sold

クメール美術 アンコール期 9世紀〜12世紀
材質 砂岩   高:46cm  幅:14.5cm


インドのヒンドゥー教を受容したクメールではシヴァの象徴として、またシヴァ自身を
リンガ(男性性器)で表現し寺院の本尊としてまつりました。

寺院では方形のヨーニ(女性性器で表現されるシヴァの神妃ウマー)の台座に直立
に突き立てられ、シヴァの活力(エネルギー)の象徴として、生殖・豊穣を祈願され、
本質的にリンガは宇宙の根源的な創造の力を表しています。

プレ・アンコール期からクメール美術の中でリンガは幾つかの形状で表現されてい
ますが、基部(4面をブラフマー)中段(8面をヴィシュヌ)上段(円筒部をシヴァ)で示
した、このリンガはもっとも完成度が高く、アンコール期を通して見られます。




祠堂形軒飾り

クメール美術 アンコール期 9世紀〜10世紀
材質 砂岩 高:50cm 幅:30cm 奥行き:30cm (展示台含む 高:67cm)

祠堂の軒飾りで、祠堂そのものを意匠としています。

祠堂のミニチュアを軒先に荘厳する手法はインドに源流があるようですが、クメー
ルでも、各階の屋根の突出部に軒飾りを配置してます。

このミニチュアはクメール寺院祠堂を正確に表しています
基壇から身舎、屋蓋、
付け柱やリンテル、破風なども確認できます。

最上部や基壇など部分的に破損していますが、クメール遺跡の9世紀〜10世紀
の祠堂が建ち並ぶ遺跡群そのものを見るようで、雰囲気のある作品です。






ナーガ(軒飾り)

クメール美術 バプーオン様式 11世紀
材質:砂岩 高:91cm (展示台含 高:102cm) 展示台サイズ:52.5×37×4.5cm


世界遺産で知られるアンコール遺跡群で見られる、クメール寺院の軒先に飾られた
ナーガ石造彫刻で、11世紀バプーオン期の作品です。

ナーガは、コブラの頭を持つ蛇王で七つ又は、五つ、三つ頭で表される水の神であ
り、地底界、財宝の守護神ともいわれています。 また仏教においては守護神とし
て採り入られ、龍(竜)と漢訳されています。

他を威圧する厳しさを持った優れた彫刻作品で、スケールと優れたクオリティーに
よりミュージアムピースであるこの作品は、在日本国カンボジア王国大使館の後援
で開催された「アンコール・ワット展」2005年に出品展示された来歴を持っています。

また、独立行政法人国立文化財機構(東京・京都・奈良・九州国立博物館、東京・
奈良文化財研究所)監修の「日本の美術」No510・龍に図版掲載されています。

この「日本の美術」で使用される図版は、殆どが国宝・重要文化財、又は博物館、
美術館所蔵作品で紹介解説がなされ、国立文化財機構が監修する、権威ある専
門書であります。そのなかにあって真正なクメール石造彫刻とし掲載され認知され
た、日本国内において唯一、ただひとつの購入可能なクメール彫刻作品です。

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