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付柱(仏陀坐像)
クメール美術 バイヨン様式 12世紀末~13世紀初
材質 砂岩 高:56.5cm(展示台含 高:64cm) 幅:36cm
バイヨン様式の付け柱で、彫りの深い唐草に囲まれた中央では
蓮華の上で禅定印を結ぶ仏陀が坐しています。
このような付け柱では、上下に連続した意匠で彫刻され、下段
にも仏陀を見ることが出来ます。
バイヨン期以降に起こった廃仏のため、浮彫りでも多くの仏陀
像が削り取られ、浮彫りレリーフで仏陀が残される例は稀で珍
しく遺された数は僅かです。
背面は、重量と厚さ軽減のため人為的にカットされています。
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トルソー(シヴァ)
クメール アンコール・ワット様式
12世紀 材質:砂岩 高:43.5㎝ (展示台含 高:52㎝)
アンコール・ワット様式の特徴でもある水平に近い角ばった肩で
胸板も厚く男神らしい姿で、クメール10世紀の神像様式を範とする
アンコール・ワット様式の一つの典型的な裙(腰衣)を着けています。
腰衣を腹前で合わせ、腰帯(ベルト)の上端から、腰衣は大きく
折り返され、その下から先端が錨形の垂れ布を2段に膝上まで
垂下させています。
左側の布ひだの刻線が一部彫刻されていない部分があり、クメール
ではシヴァとウマー(シヴァの神妃)が横並びに手を添えた二神立像
が知られていますが、この作品も恐らくシヴァとウマーの二神立像で
スペースの問題でひだの彫刻が困難だった為と思われます。
両腕、足に繋ぎなどの補修がみられますが、堂々としたクメールの
トルソーです。
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ドゥルガー
クメール美術 プレ・アンコール期 7~8世紀
材質 砂岩 高 18cm(展示台込 26cm) 横 21cm
ドゥルガーはシヴァの神妃の一つで、神話ではマヒシャ(水牛の魔人)
率いる魔人軍に神々が打ち負かされてしまい、それを知ったヴィシュヌ
とシヴァ、神々が怒りの光を発し、その光からドゥルガーが生まれたと
されています。
そうして生まれたドゥルガーは神々賞賛され、さまざまな神々の武器を
与えられ絶対的な威力で水牛の魔人マヒシャを倒します。
比較的小さな彫像ですが、微笑を浮かべ、首は太く両手首の部分は、
アーチとの間に穴を開け立体感を出すなどプレ・アンコール様式で
稀に見られる表現で工夫が見られます。
クメール美術のドゥルガーの多くは、四臂像で表現されています。
このドゥルガーも四臂像ですが破損し胸像となって上部部分の手のみ
遺されました、持物は右手の円輪(チャクラ)と左手には法螺貝の持物
が見られます。
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ガルダ
クメール バプーオン様式 11世紀
材質:砂岩 高:23cm(展示台含 高:27.5㎝)
ガルーダ(ガルダ)は鳥族の王といわれ、猛禽類の嘴と爪を持ち、人間の
胴体をしています。
クメールでは、ガルダを半鳥人の姿で表すことが多く、宝冠、ムクタ
(頂髷)など装飾も、ほかのヒンドゥー神像と同様に装飾されています。
また、ヒンドゥー教の神で、ヒンドゥー教で最高神のヴィシュヌ神を乗せ
ることでも知られます。
仏教にも採り入られ日本では迦楼羅(かるら)と音写され、金翅鳥 (こん
じちょう)とも呼ばれています。
浮彫から剥離し土中した作品ですが、感じの良い作品です。
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女尊頭部
クメール バイヨン様式 12世紀末~13世紀初 材質:砂岩 高:18cm
(展示台含:28cm)
眼を閉じて静かに微笑みを浮かべた、仏教系の女尊と
思われるバイヨン様式の頭部で、鼻先や口横、瞼、頬
などの傷と経年の風化などが見られるものの、そこに
美しさを損なうものは存在
しません。
深淵なる内面世界を表現した、この彫像頭部は画像で
は伝えるこの出来ない慈愛に満ちた優しさと、この作品
の魅力であるその表情の優しく穏やかな尊顔は、バイヨ
ン様式の芸術性と精神性を顕著に表現しています。
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シヴァ(ファミリー)
クメール バプーオン様式 11世紀
材質:砂岩 高:26.5cm(展示台含 高:35cm)
シヴァを中心に、左に神妃ウマー、右に子供のスカンダのシヴァファ
ミリーの三尊像です。
この作品は、上部に穴が穿たれていることから、香(線香)の供える
為のものであったと思われます。
シヴァファミリーの三尊では、シヴァと神妃ウマー、子供のガネーシャ
が一般的ですが、この場合はもう一人の子供スカンダであります。
この作品ではガネーシャが省かれていることから、シヴァファミリーの
ガネーシャは寺院とは別に、街道沿いなどに単独で祀られることも多く
ガネーシャ像の前に置かれ香を供える為のものではないでしょうか。
彫刻にの溝に沿って木の根なども見られ、永い土中の歴史を感じさせ
る、静かで雰囲気のある、珍しい作品です。
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祠堂形軒飾り
クメール美術 アンコール期 9世紀~10世紀
材質 砂岩 高:50cm 幅:30cm (展示台含む 高:67cm)
祠堂の軒飾りで、祠堂そのものを意匠としています。
祠堂のミニチュアを軒先に荘厳する手法はインドに源流があるよう
ですが、クメールでも、各階の屋根の突出部に軒飾りを配置してます。
このミニチュアはクメール寺院祠堂を正確に表しています、基壇から
身舎、屋蓋、付け柱やリンテル、破風なども確認できます。
最上部や基壇など部分的に破損していますが、クメール遺跡の9世紀
~10世紀の祠堂が建ち並ぶ遺跡群そのものを見るようで
雰囲気のある作品です。
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ナーガ(軒飾り)
クメール美術 バプーオン様式 11世紀
材質:赤砂岩 高:61cm (展示台含 高:71cm)
展示台サイズ:45×26cm
ナーガは、コブラの頭を持つ蛇王で七つ又は、五つ、三つ頭で表される
水の神であり、地底界、財宝の守護神ともいわれています。 また仏教
においては守護神として採り入られ、龍(竜)と漢訳されています。
硬質の赤砂岩でマカラから吐き出されるナーガで寺院装飾の軒飾りです。
日本国カンボジア王国大使館後援「アンコール王朝展」2005年出品展示。
展覧会展示品ガイド掲載作品(展示品ガイド添付)
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